2024.3.18
アームダンパーなるものを御紹介したのだがMさんが3種類のプレーヤーシステムのトーンアームで効果を確認してくださった。私がいろいろやってみるよりMさんの実験のほうが確実な答えを出されたようだ。それもそのはずMさんは学者で薬品についてのプロだから当然である、Mさん有難う御座いました。大勢のアナログファンが喜ばれるのは間違い無いでしょう。
今から考えて見ると使ってきたパイプアームの中では最高の音質だったと思う。ただしデッカのカートリッジしか使えない専用のストレートアームなのだけれど。デッカのデコラも外部プレーヤーからの音をデコラ本体に送ってもデコラの完成された再生音は出ないと思う。デッカやタンノイその他英国メーカーの始まりは進歩したはずのオーディオ界でもまったく揺るぎないのはオーディオはやはり音楽と同じく芸術なのかな?
2024.3.18 追記
昨日Yさんから関連情報を頂いた。アームダンパーを組み込んだトーンアームはデッカアームだけでは無くて日本製のレコードプレーヤーに既に組み込んであるとのことでびっくりした。ステレオサウンド、その他オーディオ誌(ステレオは時々広告入れるから例外)はこの何年かは全く見たことが無い、ましてネットでのオンラインも見て無いというオーディオメーカーにあるまじき怠慢、すみません。由紀精密さんと言うメーカー、アナログプレーヤーAP-0という高級アナログプレーヤー付属のトーンアームにはヒステリシスブレーキという機構が組み込まれているとのこと、デッカのオイルブレーキ?をマグネット式に変えた機構のように思える。産業機器で非接触式ブレーキとして使われているものらしい。是非他のトーンアームメーカーも自社のアームに組み込んで欲しいものだ。由紀精密さんのアナログプレーヤーを入手なさった方にはぜひこのブレーキ機構のオンオフの違いを公表して欲しいものだ。トンでも無いクラスの価格だからタダに近いアームダンパーがビジネスの妨害になることはないだろうと考えたい。
アームダンパー感想文(1) by M
インフラノイズのホームページでアームダンパーなるものの紹介がありました。製品ではなく、自作を要するので、しばらく見送っていましたが、アームダンパーという概念が新鮮で、紹介文から筆者の熱意が感じられ、時間がとれましたので試してみることにしました。
素材としては、手芸用フェルト各種、研磨用フェルトおよび手芸用毛糸を調達しました。
適用対象は、ThoresTD124のアームのOrtofon RMG-212、Garad401のアーム
のFR-64SおよびLINN LP-12のアームGRANZ MH-9Btですが、FR-64Sはアームダンパーを挟み込む隙間が狭さすぎて見送りました。アームの高さを調整すればいいのですが、VTA(Vertical Tracking Angle)を変えたくありません。
フェルトはアームの固定部と可動部の間に挟み込めるように切り欠きを入れ、厚みを調整したり、厚みの異なるフェルトを選択したりします。毛糸は巻き付けのターン数で調節します。
音質評価は下記で行いました。下記以外にも適用できなかったものが、いくつかあります。
Ortofon RMG-212:手芸用フェルト(1)、研磨用フェルト(スライス)、毛糸
GRANZ MH-9Bt:手芸用フェルト(2)、毛糸
RMG-212でのセット状態の事例の写真を示しておきます。
MH-9Btでのセット状態の事例の写真を示しておきます。
使用した音源は下記のとおりです。
バッハ チェンバロ協奏曲集
トレヴァー・ピノック指揮イングリッシュコンサート
ロッシーニ チェロとコントラバスのためのデュオニ長調他
イエルク・バウマン(チェロ)
クラウス・シュトール(コントラバス)
チャイコフスキー Overture “1812”
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリンフィル
ムソルグスキー 展覧会の絵「キエフの大門」
コリン・ディヴィス指揮アムステルダムコンセルトヘボウ
バッハのチェンバロ協奏曲集では、チェンバロの低音と通奏低音に注目して聴いていきます。ロッシーニのチェロとコントラバスのためのデュオでは、チェロとコントラバスのそれぞれ低音に注目して聴いていきます。チャイコフスキーのOverture“1812”とムソルグスキーの展覧会の絵「キエフの大門」は、低弦、チューバ、グランカッサなどの低音楽器の質感と量感に注目して聴いていきます。
上記に挙げた事例は、いずれもセットがうまくいって効果が確認できたものでしたが、Garad401のアームのFR-64Sのように隙間がほとんどないものや、薄いフェルトを準備しても隙間にはめることが難しかったLINN LP-12のMH-9Btの例もあり、アームの構造や高さの制限があります。
上記の事例では、いずれも低音楽器の音が明瞭になり、量感も出てきましたが、研磨用フェルトでは、硬めで弾力性に乏しいためか、幾分音が痩せて硬くなる傾向がありました。
音の変化の方向は、チェンバロの低音、バロックの通奏低音、チェロとコントラバスのソロ、オーケストラの低弦、チューバ、グランカッサなどの低音楽器の質感と量感が顕著に向上し、アンサンブルやオーケストラ全般の音の濁りが解消します。
フェルトとしては、アームの可動部と固定部の隙間よりはやや厚めで、弾力性のあるものが良さそうです。毛糸の場合は、巻き付けのターン数で調整が可能です。
隙間を調節するためにアームの上げ下げが考えられますが、VTA(Vertical Tracking Angle)が変わってきますので注意が必要です。
以上はざっとしたテストの結果で、最適化には至っておらず、まだまだ詰め切れていませんが、暫定的なまとめとして次のように考えています。
・インフラノイズの提唱するアームダンパーは、条件が揃えば、低音のクオリティと量感確保に確実に有効である。
・製作にあたっては、アームの構造をよく確認した上で製作の方針を決める必要がある。
・アームの上げ下げを要する場合は、VTA(Vertical Tracking Angle)を損なわないか注意する。
・フェルトを使用する場合は、密度、厚み、弾力性などの選択や調整が重要である。
・副作用を起こさないように素材や厚みを選択、調整する必要がある。
・評価用音源は低音のクオリティの分かりやすいものが良い。
以上、まとめますと、アームの構造や高さなどの制限がありますが、素材の選択と調整がうまくいけば、顕著な効果が認められることは間違いありません。
低音のクオリティに問題を抱えており、手間暇を惜しまないアナログマニアには試みる価値があり、素材の入手は手芸店や業務用の通販サイトで可能です。
以上
アームダンパー感想文(2)R by M
インフラノイズのホームページでアームダンパーなるものの紹介があり、素材を調達して試作し、効果を認めたことは先に報告いたしました
今回は、さらに素材を追加し、38cmダブルウーファーを有するJBL4350Aを使用して低音の挙動を調べてみます。
音質評価は下記で行いました。
Ortofon RMG-212:手芸用フェルト
手芸用フェルト(スライス)
ポリエステルウール(スライス)
GRANZ MH-9Bt:書道用和紙3種
木炭紙
毛糸
使用した音源は、オルガンの低音などに注目して下記の盤を聴いてみます。
バッハ トッカータとフーガニ短調・ヘ長調
ヘルムート・ヴァルヒャ(オルガン)
サンサーンス 交響曲3番「オルガン」
ユージンオーマンディ指揮フィラデルフィア交響楽団
ミカエル・マレイ(オルガン)
リヒヤルト・シュトラウス ツアラトウストラかく語りき
ベルナルド・ハイティンク指揮アムステルダムコンセルトヘボウ
ウジェーヌ・イザイ 6つの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ(45回転盤)
ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)
また、ジャンルを変えてジャズのベースなどの音質に注目して試してみました。
ミスティ(ダイレクトカッティング45回転盤)
Bag Meets Wes!
SAXOPHONE COLOSSUS
MJQ Last Concert
Oh lady be good他 小川理子(78回転盤)
結論を言うと、Ortofon RMG-212への手芸用フェルトの挟み込みと手芸用フェルト(スライス)の巻き付けは同じような効果があり、ポリエステルウール(スライス)は効果がありませんでした。ポリエステルウールはふわふわとしたものでダンプ効果が弱いと思われます。先に実施した研磨用フェルトが硬すぎて副作用が出たことを考えると、適度な硬さと弾力性を持った素材が望ましいということになります。
GRANZ MH-9Btへの書道用和紙3種は腰が弱く挟み込みが困難で見送り、木炭紙は厚みや弾力性の関係で効果がなく、元の毛糸に戻しました。
効果のあった、上記の手芸用フェルトと毛糸では、オルガンはもとよりグランカッサ、低弦などの低音楽器が明瞭になりました。
興味深かったことは、ツアラトウストラかく語りきの冒頭のオルガンの重低音の持続音はゆらゆらとした揺らぎがあり、それがアームダンパーで軽減されることが体感も含めて感じられたことです。そこで、同じ曲のエド・デ・ワールト指揮オランダ放送フィルハーモニー盤に替えてみたところ、アームダンパーあるなしに拘わらず、目視で分かる揺らぎの現象はありません。上記のベルナルド・ハイティンク指揮アムステルダムコンセルトヘボウ盤で再確認したところ、ヘッドシェルが左右に振れており、どうやら盤の偏心があるようで、これに由来する音の揺らぎをアームダンパーが幾分軽減しているのではないかということになりました。
また、低音が入っていない、45回転盤のヒラリー・ハーンのヴァイオリン独奏盤では、アームダンパーありなしで音質の顕著な変化はなく、効果がないというか、倍音の伸びが抑制されるとかの、ダンプの効きすぎによるような、これといった悪い影響を認めませんでした。
ジャズ音源では、ベースの音の明瞭度が向上し、音階がとりやすくなったことです。その他、ピアノやヴィブラフォンやギターのアタック感がくっきりとしてきます。また、サキソフォンは肺活量が増えて息の吹き込み速度が速くなったようで、ドラムソロではドラムの皮の張りが強くなったような印象で、クラシックでは経験できなかったこともありました。
なお、目視でもシェルの上下、左右の揺れが分かる78回転盤では、効果は顕著でした。
低音のクオリティに満足できず、素材と加工法、対象とするアームの構造、選択する盤とシステム全体の構成のこまめな調整など、条件の検討に手間暇を惜しまないアナログフアンには試みる価値があると言えます。
以上
本来なら画期的発明でしたが? これで帰り咲きます!
回転シェルはとても優れたアイデアだったのです。
2024.2.12
アームダンパーのご紹介
新製品ではありません、プレゼント非売品でもありません。
アナログ大好き、レコード命がけマニアの方にプレゼントです。
以下思い付いたきっかけ、検証、考察を書いてみました。やってみて効果があればお友達にも勧めてください、きっと大喜びされます。なんの権利も主張しませんから安心して拡散してください、特に海外へも伝われば言うことは有りません、日本オーディオのほこりとなります。効果ですがカートリッジの針先がグルーブの偏芯などによりフラフラする現象が無くなるので低音の解像力が驚異的に改善され、高音域のフラツキによる混変調が軽減し落ち着いた再生音になる。愛用の大事なカートリッジがさらに可愛く大事になるのは間違い有りません。世界中のアナログマニアが望む夢見た再生音です。
まずは私のアナログ環境で気が付いた時は自宅に電蓄(メーカーは覚えていないが東芝か?とかの日本製、AMラジオが聴けた)アームはかなり大型で鉄針をネジで止めていた。もちろんSP盤だけでLPなどは知らなかった。ザーザーと針音ばかりで良い音と思ったことは一度も無い。ただのおもちゃでしかなかったのだがレコードにはこれで慣れてしまった。
そして小学生の高学年、安物のポータブル電蓄でターンオーバー式クリスタルカートリッジでEPやLPを聴いていたのだが何を聴いていたのか覚えてはいない。中学生になると級友が音楽好きでなんと親にマランツ7TやグッドマンのAXIOM80、ARU箱入りを買ってもらっていてそれで森進一や軽音楽を良く聴いていた。自分ではそんなわけにいかずにパイオニアのシングルコーン自作箱で楽しんでいた記憶が有る。まさに軽針圧、パイプアームの全盛時代であった。そして高校を出る頃にはかなりオーディオの知識はあったがオルトフォンカートリッジは買えなくてせめてNCカートリッジのSUPEXなどを購入していたが良い音だと思ったことは無かった。
そんなパイプアーム全盛時代なのだがグレイとか、電音の局用の大型アームの方が音が良いと言う人もいてそれを疑うことは無かったが自分で入手して試すまではしなかった。しかしパイプの鳴きが良い方に作用しているとは思えなかった。マランツのリニアトラックも登場したが特にリニアトラックが優れているとは思えなかった。そして私に音楽の要素として最重要なものが和音であることを教えてくださった音楽の先生の常用はパイオニア?のリニアトラックアーム付のレコードプレーヤーだった。このあたりで何となくヘッドシェルがレコード溝にまっすぐであることが重要なのかも知れないと心の底で感じていた。
アームの話では無いが昔からステレオレコードよりMONOレコードの方が音が良いと言う人は結構おられた。これはなんとなく理屈でも解かった、混変調やクロストークはMONOのほうが物理的に優れている。またステレオカートリッジ、軽針圧カートリッジはMONOレコードの規格でステレオ再生を行うために高性能化を目指したのではあろうが物理的に無理な、難しい構造になったのは間違い無い。残念ながら理屈ではMONOが良いとは思うが現実に自分の再生装置で圧倒的な優位性がMONOにあるとは再生音では感じなかった。現在ではMONO再生が圧倒的に良いのでは無く、比べるならかなり良い、またステレオは特に必要では無くて自分の良く聴く音楽、演奏はMONOで充分と感じるし、ステレオとMONOは意識して聴かい限りそんなに大きな差は無いように感じている。違いを探すならMONOのほうがかなり安定感がある、特にMONO専用カートリッジでの再生音は安心感があるので好ましい。
このような流れの中でデッカのカートリッジとアームは勤め始めた頃から使っていた。回りでデッカを使っている人はいなくて、わざわざ英国人の友達に購入してもらったくらいで回りの人はオーディオの変人だと思っていたのだと感じた。ところがこのデッカは曲者だった、デッカロンドン?とか言う名前でまるでブリキ細工のような安っぽい外観だった。トレースさえ難しく使いこなすまでいかずに壊してしまった。再生音は中音域のしっかりした感じはあったが低音がまるで出ないくせのあるものだった。ところが後で解かったのはカートリッジが低音再生能力に欠けるのでは無くて使っていたデッカ製のアーム、デッカインターナショナル、マグネットでフロートされた一点支持の変わったアームのせいだったことだ。とにかくフラフラアームアレルギーはこの頃出来たと思う。
だからSMEのショートアーム、その後のSME軽針圧用アーム、スタックスのコンデンサーカートリッジ用のアームなど特に軽針圧を意識した設計のアームには全く関心が無かった。
その内ラジオ技術誌関連のマニア考案だったのか?回転シェルと言うのものを知り早速いくつか自作した。音は確かに抜けが良くなる傾向にメリットは感じたが音のバランスが崩れてしまった音楽にならない。低音が出なくなるのが回転シェルだと理解して持っているのも忘れてしまった。
そうだ中道研究所が造ったターンテーブルでレコードの中心孔のブレをターンテーブル側で自動補正するシステム付の製品、凄いことを考えると尊敬したが残念ながら現物を見たことも無かったし、その効能については想像する能力は無かった。これは今となっては残念で悔しい,多分素晴らしいだろうと言うと想像する。
そのうちEMT蓄音機を頂いたTさんからデッカアーム、MK-I スーパーとデッカカートリッジMK-II,ステレオ用、SP用をプレゼントされた。デッカデコラ電蓄に採用されていたモデルそのものである。使っていたデッカアームはこのMK-Iより後の製品である。使ったことがあるのでこのMK-Iとデッカカートリッジには大きな期待は無いまま現用のターンテーブルに取り付けた。再生して腰が抜けた、再生音はほぼ完ぺき、おまけに堂々と低音が出た。デッカカートリッジはHiFiでは無くて、低音の出ないものという認識は完全な間違いだった。思い出しても恥ずかしい、いわばオーディオ界の原始人だったのだ。このアームには初めから不思議があった、取り付ける前に気づいたのだが水平回転軸の動きが全くスムースで無い、これではまともにトレースしないに決まっていると思った。軸のベアリングが古いので戦時中の双眼鏡のピントを合わす部分のグリースが固着しているのと同じだと感じた。グリースを入れ直すのが面倒だと思ったが英文のタグがぶら下っていたので読んでみるとなんとグリースを交換してはならないと注意文がある。とても固い回転で?マークで頭がいっぱいなのにそのまま取り付けた。眼が覚めた、フラフラ、スムース回転軸ではカートリッジにより低音が出なくなるのだ。カートリッジの針が発電できずアームが振られてしまうのだ。残念ながらビックリ喜んだもののこの事件は忘れてしまった。
そしてごく最近にまたアナログに再び目覚めカートリッジそのものを改造したり、新たに造ったりし始めた。その流れの中で回転シェルを思い出して探したらでてきた。改造カートリッジ(WTPカートリッジ)で普通のシェルと比較した。当時感じた印象と同じ、良いところはあるのに犠牲になることが大きすぎる、評価する人は自作マニアや音響的オーディオマニアにしかいなくてビンテージSPUを評価される方はまず無視する再生音である。
ここでデッカアーム、カートリッジの恥ずかしい経験を思いだした。そうだこの回転シェルの回転部分をダンプして聴いてみよう。薄いフェルトを回転部にはさんで聴いてみた。抜けの良いところはそのままで低音がちゃんと出た。手持ちのシェルの中では上位に躍り出た。トレース状態を見ると極端なフラフラは無くなるがトレース方向を自動的に向くところは失われていない。ここで自信がでてきた、失敗は成功の元、いくつかのアームでの経験と知識の点が繋がり始めた。やはりデッカは素晴らしい、デッカデコラの素晴らしさは秘密なんて無い、オーディオの知恵の総合芸術作品だったのだ。その一部をまた垣間見てしまったのだ。
繋がり始めた点であるがもう一つ最近見つけた点である。過去の主なるカートリッジは殆ど持っている。残念ながらノイマンやウエストレックスは聴いたことはあるが所有は無理である。でもイメージ的にはしっかり掴んだと思う。不思議なことに通常の盤をかけてもラッカー盤の音がした。それほどの解像力と音楽性をカートリッジ自体が持っていたのだ。追いかけ、追い越せは最初からノイマンのカートリッジなのだ。それに近いものの手持ちはオルトフォンのMC型で最初期のステレオである。MONOのオルトフォンを無理やりにステレオ化したものに見える。結局少ない数しか作らずSPUに移行したようだ。これが手持ちのカートリッジの中で一番ノイマンに近いように思えるが残念ながら解像力と鮮烈さはとてもノイマンには及ばない。EMTになると解像力はあるのだが鮮烈さとエネルギーはとてもノイマンと比較出来るものでは無い。
また脱線したが、もう一つの点はスタントンのカートリッジである。音質はシュアーのM-44を広帯域にして味を抜いたような業務用?の音と言える、まともだが魅力の無いという点では国産のカートリッジに似ている。点についてはこれでは無くカートリッジの頭についているブラシだ。聴かずとも考えてみたらブラシの先がトレースする音、雑音?がボディを通して楽音に混じってしまうのではと想像してしまう。昔カートリッジの特集のあるオーディオ誌ではライターがこれは害になるだけだからちぎり取ってしまったと書いてあった。知り合いのオーディオマニアも買ったとたんに外してしまったと言ってたのに驚いた。私もなんのことは無い、スタントンを入手して聴いて学んだ。ブラシの音を含めたチューングがされていてブラシを取るとか細い普通の国産カートリッジに音になってしまう。理屈だけで製造されているのでは無いのが世界で通用するオーディオメーカーの偉大さである。この点はミシュランのタイヤや、ツアイスのレンズに通じるところがある。さてこのブラシもブラシの音だけで無くアームのフラツキを無くす効果が隠れていた訳であるのが後から解かった。レコード溝の音を拾わないテフロン製のテイコウ物をブラシ同様に取り付ければ良いのかも知れないがデッカのスムースで無い水平軸を使えばそのほうが実用的である。
これまでの点を整理してみたい。
1) モノーラルカートリッジによるMONO盤再生の音。
2) パイプアームで無い大型局用アームの再生音
3) ショートアームよリロングアームの音が良い。
4) 曲がったパイプよりストレートアームが良い
5) リニアトラッキングアームの音の良さ
6) デッカインターナショナル、マグネットフロート一点支持アームの音の悪さ
7) デッカMK-I アームの水平軸の異様な動きの悪さ、固いグリースの目的
8) 回転シェルの音の悪さ、ダンプされた回転シェルの優秀さ
9) レコード中心孔の偏芯補整機構のある中道ターンテーブル
10) スタントンカートリッジ付属のブラシの効果
11) カートリッジシェルに付ける重量物やスタビライザーの効果
これらは全てアームが水平方向に振られる現象に対して効果があることに注目して欲しい。後は実験と方法である。
アーム水平回転軸の動きを悪化させる方法、ダンプ、抵抗付加の機構を考え出して実験すれば答えが出る。
1) 水平に回転する軸の部分、ベアリング軸受けその他のオイルを固いものに交換する。分解も粘度のあるオイル、その他抵抗性粘性のある添加物などの知識が必要となる。分解、微調整も大変である。
2)フェルト、セーム革などで軸を挟むものを作成する、これも調整に苦労する
3)水平軸の回転を細かく制御するメカニズムを最初から付属させる。インサイフォフォースキャンセルのような機構、0-からわずかの抵抗まで変化出来るもの。アームメーカーの仕事で最初から付属させるべきである。改造は大変。
4)後から付けるメカニズムを製作販売してもらう。フィデリックスさんが販売して下さると良いのだが?簡単にネジで0-から抵抗量を微調整出来るものが望ましい。
5)太目の純毛の毛糸を20cm位用意して水平回転部と回転固定部の間に結びつける。材質で音が変わるので純毛のものが望ましい。巻きつける回数、巻き付け具合など全てヒアリングで決定するのも大変だが楽しみでもある。
6)上記5)の方法が機構上で困難がある場合は1cm X 1.5cm位の薄いフェルトを作成、縦の真ん中位で片側は二重にする。薄い側に両面テープで回転部と非回転部に貼り付けて抵抗を加える。1-3個位に貼り付ける数はヒアリングで決定する。
いずれの方法にしても過ぎたるは及ばざるごとし、ヒアリング微調整無しで行えばまぐれでベストが出る場合もあるが、カートリッジの種類、アームの種類、針圧の違いなどでまぐれはまず難しい、しかし抵抗がゼロの基準があるから調整はそれほど困難ではないが毛糸の巻き具合、締め方などで変化があるので難しいのは作業の方である。抵抗0から初めて一回巻く、二回巻く、締め具合を何度か変えてベストを探し出すのである。ロボット掃除機の回転ブラシに髪の毛が巻き付いて動きづらくなったり、モーターボートのスクリューに海藻が巻き付き廻らなくなるのを思い出して頂きたい。せっかくのスムースなアーム妨げる行為なのできっとためらわれだろう。しかし勇気を出してあえてチューンダウンすることが結果をもたらすことを信じてもらうしかない。
やり過ぎると高音域が不足したりトレース不良で高音が歪んだりするのは間違い無い。ゼロでは元のアーム、カートリッジの音である。ベストを見つけると音場、分解能、低音の特性、揺れない安定感が約束される。聴いてしまうと元には戻れない。あえて例えるとステレオがMONOの安定感を取り戻す。デジタルでデジタル録音の優れた点である安定感、低音の優秀性にひけを取らないアナログ再生となる。音質はアナログのままなので有名レーベルの復刻CDなどより遥かに優れたアナログ再生音となる。低音の量感、しまり具合だけで決めると高音域のトレースが不足になるので必ず高音域での調整を行って下さい。もちろん組み合わせるカートリッジにより異なりますので交換の度に確認してください。
以上頑張ってみて下さい、だめなら簡単に元に戻せますから。よろしく。
参考のため写真を掲載します。
P.S.抵抗量調整の時は必ず針圧の再調整、インサイドフォース量の厳密な再調整を行ってください。抵抗量の変更ではインサイドフォースの量はかなり変化します。
2024.2.8
AquiraxさんがLANアキュライザー2個使いの結果感想をまとめてお送りくださったので掲載します。
Aquiraxさんを含め現在4人の方へのCDクリーナープレゼントが決まってしまいました。まだ在庫は有りますが思いの他早く終了しそうな予感は有ります。以下LANアキュライザー2個使いでの試聴感想をご紹介します。
LANアキュライザー(LACU-1)の使用感 2
我が家のLAN環境からして、LACU-1が出た当初から2個目の注文を見越していました。
なぜなら、メインとしているファイル再生システムと仕事用を兼ねたPCシステムとを数ヵ所の光アイソレーションで分けて使っていたからです。
1個目のLACU-1は、最初にメインシステム側のNASとストリーマーとの間の数ヵ所で試してから、最終的には、PCシステム側のWi-Fiルーターとそれに直結するスイッチ兼メディアコンバーターとの間で使用することにしました。
2個目については、そのスイッチから光ファイバーケーブルで結線しているメインシステム側のスイッチ兼メディアコンバーターにメタルケーブルで結線してあるNAS(Soundgenic)のLAN入出力端子付近で使用しています。
ザックリ言うと、Wi-Fiルーター側とNAS側との2ヵ所に使用していることになります。
LAN経路は魔界といわれるだけあって、たとえ途中で光アイソレートしていたとしても、どこをどう弄っても、それがシステム全体に影響することを確認していました。
LACU-1でも同様に感じていましたので、1個でも充分なのかもしれないとは思いましたが、やはり家庭内にあるNASと外部の音源につながるWi-Fiルーターとは分けて対策した方が安心だと考えました。
実際に2個目のLACU-1をメインシステムに入れることで、1個目で試した時と同様の改善傾向が感じられ、さらに再生音が安定しました。
LAN環境はそれぞれですので、必ず2個が必要とは限らないのかもしれませんが、使用した実感からすれば、2個使いを基本としても良いのではないかと思っています。
LACU-1によって、デジタル再生の利点がブラッシュアップされつつ、アナログ再生ならではの良さを彷彿とさせる再生音が得られます。
私が日常的なデジタル再生音で最も頻繁に耳にするのは、メインシステムでのファイル再生と並んで、PC音声です。
オーディオ的な音を意識せずにLACU-1の恩恵を最も受けているのがPC音声である、とも言えます。
音楽を聴くという行為は非日常的な面が大きいと思いますが、常に音楽的に優れた音声に触れているのも大切だと思っています
。
もちろん、音楽鑑賞においてもLACU-1による顕著な利点を感じていますが、特にCD品質の音源の再生で良さに気づくことが多いです。
ハイレゾと比べてどうこうというよりは、旧いデジタルマスターでも音楽的なダイナミクスが豊かに感じられ、全く不満を感じません。
2024.2.7
2.12追記有り 2.22追記有り
倉庫から昔の製品がいくつか出てきました。これはCDクリーナーです。値段は忘れましたが天然皮革のスエードで袋状に縫製されています。皮革にはダンピング剤が薄く含侵されています。ごくわずかですので跡がついたりベタベタすることは有りません。主な使用目的はCDの表面やレコード面を軽く拭くだけで音質がアップします。掃除したり磨いたりするというより軽く触れる、なでるくらいで充分です。また音質に違和感があるなら普通の布やクリーニングクロスで拭けば簡単に拭き取れますから心配は要りません。
主なる使用目的はCD,レコードの音質アップですが、実はオーディオ機器のパネルや表示部、トーンアーム、シェルなどを拭く事ことで音質アップがあるので驚かれると思います。そういう意味で使用方法は無限です。また歌を歌う時に自分の首の喉仏部を軽く拭くと声が美声になったり、歌が上手く感じるなど大喜びされた方もおられます。
ウイーン国立歌劇のオリヴェラさんと懇意にしていたので、試してもらったら眼を丸くされたのを思いだしました。そんなことで廃棄にするのは勿体ないと思いました、しばらく考えて非売品プレゼントにすることを思い付きました。数量限定で在庫が無くなったら終了します。再生産は不可能です。
何かで効果を確認しておこうと考えiphoneでyoutubeを再生してみました。販売していた当時はまだこのような携帯電話も音楽アプリも無かったから今回初めての経験です。まずyoutubeでヴァイオリン独奏を再生、画面表面をぬぐってから同じものを再生しました。さーと雑味が取れましたが少し音が散った感じが、もう一度再生して椅子から落ちそうになりました。素晴らし再生音に変化しています。在庫がたくさんあれば再販売?ですが残念ながらプレゼント品で終わります。ちなみに販売当時は全く話題にならず殆ど売れませんでした。マユツバだと言うと当時なら殆どの方がそう思われたのでマユツバという言葉は当時タブーにしてました。
ぜひご感想を出して頂き、この逸品をゲットしてください。
2024.2.8
翌日から上記記事に対する反応が有り驚いています。だからといって新たにCDクリーナーを発売しようなんて発想は出てきません、水をさすようですがCDの静電気を除いたり、残留磁気をキャンセルしたりしても音は変化するが絶対に良くなるとは保証してくれません。同じく怪しいお祓いグッズやマイナスイオンアクセサリーも含めて必ず音の変化は認めます。ただし絶対良くなるとは限りません、悪い方向に変化するかも知れません。バカげたことに昔ウエスタンの昇圧トランスを外部から消磁器で処理してしまい顔が青くなりました。とたんに国産のトランスになってしまいました。それ以来お払いアクセサリーにはアレルギーが有ります。自社のオーディオ製品にはこれらのアクセサリーを使わないでくれと主張するメーカーもあるらしいです。インフラノイズとしてはそこまでは言いませんが、どうか充分慎重にこれらのアクセサリーに取り組ん下さい。
2024.2.12
CDクリーナーの試聴感想をAさんが早速お届けくださいましたのでご紹介します。Aさんはアマチュアのヴィオラ奏者です。私の親しくしてきた弦楽器奏者はやはり耳がとても良いです。失礼な言い方になるかも知れませんがオーディでの耳の良いライター、技術者、モンスタークラスオーディオマニアと比べても明らかに同等以上の耳の持ち主が殆どです。擦弦楽器はフレットが無く、弓一本と左手指で演奏しますのでオーディオの調整能力、プラス瞬時の調整能力が必要なので当然なのでしょう。また誤解されると困るのですが、親しくしてきたピアニストは明らかにこれほどの能力を持つ方は少なかったです。当然の結果だと考えており自分自身の能力を考えると悔しいが事実です。
CDクリーナー感想
私のオーディオ趣味は、専らCDオーディオである。ハイレゾには全く興味なし。アナログレコード再生は興味あるものの、今さら一度見切りをつけたレコードのためにアナログプレーヤーやカートリッジにお金をかけるのも腰が重い。それより、手持ちの2万枚以上あるCDに入っている音を最大限引き出せるように日々奮闘している。しかし、基本的にCDクリーナーは使っていなかった。中古CDを買って、見た目明らかに汚れていたり、指紋や油のようなものが盤面にこびりついていたり、カビが生えていたりした時に限り、大昔に出たオーディオテクニカのCD超音波クリーナーで盤面を洗っていた。盤面は新品同様になり、精神衛生上にはよいが、音は少しすっきりしすぎるというか、やや無機的な感になるのは否めない。ところが、今回インフラノイズ社のCDクリーナーを使用してみて、驚いた。実に有機的、音楽的な音色になったからだ。CDが出始めた頃、CDクリーナーとしてセーム皮を使った商品が出回っていたのを思い出すが、これがまさにそれ。臭いで思い出した。ただ、ホームページでも述べられているようにこの商品は、盤面をこれで磨いてピカピカにする類のものではなく、盤面を撫でるようにすることで、音質改善を図るもののようである。
では、どのように変わったか?まず気づいたのが、弦楽器などの耳を刺すような音が音楽的にまろやかに感じられる。音が丸くなるというのではない。そして音がとても有機的、音楽的になる。これは、CDとしては比較的初期の1988年録音の小川典子のデビュー盤リストのピアノソナタのCDでも十分に感じられた。またより古い録音で、決して良い録音とはされていない1955年頃録音のホーレンシュタインのマーラー(米VOX)でも感じられた。もちろんクリーナーを使用することで画期的にいい音に変化したというのではない。CDの中に収められている音楽が十二分に引き出されて、きわめて音楽的に聴かせてくれていると言えばよいか、とにかく聴いていて嫌な感じがしないのである。かといって、聴きやすくデフォルメされているというわけでもない。このところ次々と発売されているインフラノイズの製品を使用して感じる変化と同様の変化を感じるのである。
私はアマチュア奏者として、ヴィオラを演奏するが、ちょうど今、秋山和慶先生の指揮での演奏会を明後日に控え、本番前の練習が佳境に入っている。楽譜に書いてあることは忠実に、しかし、楽譜には書ききれないこともある。何も書いていない場合でも、何も考えずに音を出すのではなく、常に音楽的にどうかを考えて出さないといけない、といったことをまさに今日おっしゃっていた。インフラノイズ社のCDクリーナーを使ってみて、まさに同じことを感じた。オーディオ機器からきわめて有機的、音楽的な響きを醸し出してくれる。
2024.2..22 追記
酒仙坊さんがCDクリーナーの考える限りの応用を検証してくださっています。まずはジミージャズさんの掲示板に2月に入って結果を毎日ように書き込まれています。こちらのブログにも内容を御紹介すれば良いのですが、なにぶん長らくインフラノイズ製品を愛用して頂いたのにもご存じ無かったくらい古い製品です。ご紹介しても皆様に楽しんで頂くことが出来ないのです。申し訳有りませんがそれでも興味をお持ちの方は間も無く酒仙坊さんがご自分のホームページに、さらに詳しく掲載されるはずですのでそちらをご覧ください。
2024.2.7
またまたMさんからLANアキュライザーの試聴感想が届きました。わたしがインフラノイズと無関係ならMさんはインフラノイズのスタッフではなかろうかと疑うくらいの熱心さで製品についてのテストを行い感想を出されます。有難いことです、それもかなり高いレベル考察を伴っての結果です。早速試聴感想No.5で追加掲載します。
LANアキュライザーLACU-1試聴報告(5) by M
―配信元の音の差―
LANアキュライザーの導入後、いろいろ未経験のことが起こっています。今回は、同一音源の配信元の音の差の報告ですが、その前に報告していないことを含めて整理しておきます。
まず、Spotifyですが、これまでロッシーだから限界があると思っていた音質がLANアキュライザー以降様変わりしています。
YouTubeでも同様です。例えば、ラックスマンホールでのベートーヴェン国際ピアノコンクールアジアの入賞者コンサートの模様がYouTubeで公開されていますが、入賞者の弾くベーゼンドルファーがベーゼンドルファーらしくなってきています。
アムステルダムコンセルトヘボウのサイトに収録されている少し前の収録音源もアムステルダムコンセルトヘボウの力量が分かるようになってきました。
一言で言うと一様に底上げがあったということになります。
既存のメディアとの比較では、マスター音源が同じと思われるCDとSTAGE+の比較で、後者がEMT981で再生するCDに肩を並べるところまできたことは、先の感想文で述べたとおりです。
さらに、アンテナ経由でブルーレイレコーダーに収録したNHKのウィーンフィルNYコンサートのような音楽番組とNHK+の配信も同様に、後者が前者に追いつき、追い越せたようなところまで来ました。
ピアニストの演奏スタイルや機種の聴き分けが容易になったことも先に報告したとおりです。
今回報告する、配信元が違う音源の聴き分けは次のような事例です。
2006年の「ベルリン・フィルのヨーロッパ・コンサート」でのSTAGE+の配信とベルリンフィルディジタルコンサートホールのアーカイブの比較試聴です。受信から再生まで、LANアキュライザーの適用を含めて同一ルートですので、似通った音になっていると思って聴きはじめました。
プログラムは以下のとおりです。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
交響曲第35番ニ長調 K. 385《ハフナー》
ピアノ協奏曲第22番変ホ長調 K. 482
ダニエル・バレンボイム (ピアノ)
ホルン協奏曲第1番ニ長調 K. 412
Radek Baborak(ホルン)
交響曲第36番ハ長調K.425《リンツ》
ともに底上げできていることが分りましたが、STAGE+の配信が本家のベルリンフィルディジタルコンサートホールのアーカイブより、音の滑らかさなどで優っています。
受信から再生まではまったく同じ経路ですので、配信元の条件の何かが違うものと推察されます。本当のところは分かりませんが、例えば、送り出しのフォーマット違いのようなことかもしれません。
このようなことが、LANアキュライザーによる全体の底上げの結果、認識されるようになったということのように思われます。今まで受信以降の対策効果の結果を調べてきましたが、送り出しの違いを聴き分けるという新たな課題が見えてきました。
アナログ盤では、優れたシステムでは、リマスターや、カッティングやプレスで音が変わってくることがありますが、同じように配信元の状況も注目する必要があるかも知れません。
以上
2024.1.31
LANアキュの売れ行きは良くないと書いたら、応援?でMさんから感想文N0.4が届いた。動作原理は不明なれど効果は大きいとの事。オーディオでは分解能とかスケールとか音響的な捉え方が普通だが演奏内容の再現性とかに踏み込んだ記述はめったに見られないので有難いことだ。(画像はart studio まほろばさんからお借りしました)
LANアキュライザーLACU-1試聴報告(4) by M
―LACU-1の効果の考察―
感想文(3)では、LACU-1のピアノの音での効果について報告しましたが、音質に関する全般的な効果をまとめると以下のようになります。
・音の焦点がぼやけずに合ってくる。
・定位が明瞭になる。
・通奏低音が明瞭になり、低音が伸びたように聴こえる。
・倍音が明瞭になり、弦楽器などが艶のある音になる。
・オーケストラや合唱の分離と協和が改善される。
・個々の楽器や声の質感が改善される。
・ホールの残響など、間接音が明瞭になる。
一言で言えば、音の精度が向上するということになります。
このことは、LACU-1以外の、iFiのiPurifierAC、iPurifierDC、LAN iSilencerや光城精工のCrystal E Jtune、Crystal Ep、Crystal EpLなど、配信音源の音質対策に適用してきたアクセサリーについても、部分的に、あるいは効果の大小はあるにしても概ね共通する傾向です。
しかしながら、LACU-1は、LANケーブルを通すだけのことで、目覚ましい効果を発揮するという点で特異的です。
LANアキュライザーの現在の使用箇所は、ルーターからスイッチングハブへのLANケーブルとスイッチングハブからPCへのLANケーブルに装着しています。ルーターからスイッチングハブへのLANケーブルでは、すべての配信音源に効果をもたらしますし、スイッチングハブとスイッチングハブからPCへのLANケーブルでは、PCで処理する配信音源に効果が及びます。
こうなると、LANアキュライザーの効果発現機序に関する興味が沸いてきて、素人考えながら考察を加えてみたくなります。
メーカー資料によれば、3つのインダクタンスによるパルス整合器という記載がありますが、それ以上の説明はありません。
3つのインダクタンスということを手掛かりに推察しますと、LANケーブルへの飛び込み高周波ノイズを吸収するか、LANケーブルの信号から発生する電磁波を吸収し、電磁波の発生する電界や磁界がLANケーブルの信号に影響を与えることを防止する意味があると推察されます。3つのインダクタンスということは、周波数帯域の異なるコイルということのようで、LANケーブル周辺の浮遊ノイズを吸収減衰するためにノイズ成分に該当すると思われる、高周波数領域にインダクタンスをチューニングしたコイルを配し、ディジタル信号に影響することなくノイズそのものを減衰させているものと推察されます。
ベルリンフィルディジタルコンサートホールその他の音楽配信を聴き始めた頃、音の悪いことに閉口し、なんとかならないものかと試行錯誤しながら、現在は、アナログやCDやハイレゾ音源に肩をならべるくらいの主要音源の位置を占めるようになってきました。
当初は、元音源の収録品質の問題か、サンプリングレートなどのフォーマットの問題か、送信ビットレートの問題なのかと、その限界はいたしかたないものかと思っていましたが、試行錯誤の結果から、どうやらノイズの問題に関連していそうな感じになってきました。
アナログ時代からノイズと音質の問題はいろいろと言われてきましたが、ディジタル時代になっても明確な答えが見いだされていません。
それどころか、配信音源の再生では、光モデムのフォトダイオードはじめ、ルーター、スイッチングハブ、PC、ストリーマーなど、ディジタルノイズとの縁が深まるばかりです
現状では仮説に基づき、音楽的感性に頼りながら試行錯誤的に設計が行われるのはやむを得ないこととは思いますが、より専門的な立場からのデータによる検証が望まれます。
LACA-1はそういった制約の中で、すでに報告したピアノの音の精度があがったことからも、音楽的感性に基づいた設計、製作の成功例のように受け止めています。
以上
2024.1.26
MさんがまたまたLANアキュライザーの試聴感想を届けて下さった。LANアキュライザーは一生懸命開発したのにもかかわらず売れ行きが悪い。別に売り上げが欲しいのでは無いがせっかくの力を知って頂け無い思いが有り悲しい。まあ自虐的にマユツバとかの触れ込みでデビューしたのがいけなかったのかとも考えるが、やはりインフラノイズ製品の愛好者はネットオーディオをする方が少ないのが原因と考える。そんなことで凹んでいる時にMさんが貴重な体験を下さるのは嬉しい。Mさんの耳が良いからブラインドでベヒシュタインの音に気付かれたのだろうけど、LANアキュライザーを使わないでいくら高額な機器を使ってもこのレベルの判別は難しいと思う、なぜならベヒシュタインは他のピアノと比べ個性的?な音色という点では個性的?で無いからだ。写真のベヒシュタインはピアノプラッツさんからお借りした。こちらの清水さんにはたくさんピアノについてお教え頂いた。だからこんな知ったかぶりでない事が言えるのだ。ベヒシュタインに精通したピアニストの演奏会があった時に、日頃清水さんから聞いていたこと,このピアニストも同じことを言った。ベヒシュタインが他のピアノと比べ大きく違う特長はたくさんの違った表現、音色が出せることである。解り易く言えばまさにホロヴィッツは他の著名なピアニストと比べてこの多彩な表現が出来るピアニストである。即ちたくさんの引き出しが有るから表現力が大きくなる。ただしそのような感性、テクニックが無ければ単に弾きにくいピアノでしか無い。実際にスタインウエイに慣れ切ったピアニストがステージにあるベヒシュタインを見ると顔色が変わることがある。音色は自分で造るもの、ピアノの音色が助けてくれないからだ。私はピアニストで無い、ピアノを弾くというより触るというレベルだからこのような話を自分で体験しているとは言えない。そう言えばベヒシュタインのグランドをリスニングルームを片付けてから購入したいなんてことを人様に言ったような記憶が?でもコロナにかかり肺炎にまでなったおかげか残り少ない時間をベヒシュタインを触って過ごす時間を取るのは!まさにこの言葉がふさわしい、猫に小判だー 今はグランドピアノを買うのは諦めてはいないけど整音も調律も自分でやるのだからヤマハにすることにした。それでも猫に小判で無いとは言えないかも知れないが猫にオモチャなら許してもらえるかな?
以下Mさんからの試聴感想、続々編である。Mさん有難うございます。
LANアキュライザーLACU-1試聴報告(3) by M
―ピアノの音の把握―
LANアキュライザーの感想を2回にわたって報告してきましたが、STAGE+の配信音源を試聴していて、偶然以下のような経験をしました。
その一つは、バスバリトンのトーマス・クヴァストホフのヴェルビエ音楽祭のシューベルトとラヴェルの歌曲集の演奏のライブ収録のアルバムで、映像はありません。伴奏のピアノ奏者は、エフゲニー・キーシン、マルタ・アルゲリッチ、エマニュエル・アックス、ジェイムズ・レヴァインが次々と努めていますが、それぞれのピアノの音色が違って聴こえます。音楽祭の一連の演奏ですから、ピアノが同じで調律も変えていないとすれば、ピアノ奏者のタッチやペダルの使い方など奏法の違いの個性が音に現れているということになります。ピアノはおそらくスタンウェイでしょうが、演奏者の奏法の違いが音に現れ、それがこのようなアルバムの配信でも認知できることに驚かされました。
もう一つは、マリア・ドゥエニャスとジュリアン・ガルギウロによる、ジュリアン・ガルギウロの作品のヴァイオリンソナタの演奏の映像付きライブ収録です。ピアノの音が、スタンウェイやベーゼンドルファーとは違うなと感じていたら、映像で一瞬ちらりと奏者の手元が映り、ベヒシュタインであることが分りました。ドゥエニャスのヴァイオリンの繊細な表現とガルギウロのベヒシュタインの優雅な音色がよくマッチしています。ちなみにベヒシュタインの生音は聴いたことがなく、モーツァルトのピアノソナタのCDのみの記憶です。ベヒシュタインの生音を知っていたら、すぐに分かったかもしれません。
これまでのスピーカーアキュライザーや仮想アースに加えて、ルーターからスイッチングハブとスイッチングハブからPCへのLANケーブルに装着したLANアキュライザーの効果で、配信でも奏者毎の奏法の違いや機種の違いなど、細かいピアノの音色の違いが聴きとれるようになったということになります。
バスバリトンによるシューベルトの美しき水車小屋の娘と白鳥や若手奏者のドゥエニャスのヴァイオリン演奏を聴きたいと思って聴き始めたら、ピアノの音に関するオーディオ的な試聴にもなってしまいましたが、もちろんライブ収録のバスバリトンの歌唱とヴァイオリンの演奏も堪能できました。
ドイツグラモフォンのライブ収録の音質の優秀さを損なうことなく、受信から再生までの過程にLANアキュライザーが大きな役割を果たしていると言えるでしょう。
以上